T.S.Iの想い

1973年、私は18歳の時に病気を発症し、２年間療養所に入所しておりましたが、当時の療養所は、暗く、
決して居心地のよい場所ではありませんでした。
1988年、画材店の役員をしていた頃、アメリカの視察旅行へ。アメリカの老人ホームも視察しました。
そのホームの雰囲気や、入居者の高齢者の方々はとても明るく、 当時の日本の病院や、高齢者向け施設のイメージからはあまりにもかけ離れており、「こんな場所があるのか」と衝撃を受けたことを覚えています。

1992年の37歳のとき、起業を目指すため、バブル崩壊でどん底状態にあった不動産業界に転身します。
1995年には、阪神・淡路大震災が起こったため、ボランティアで神戸へ。そこで見たものは無残に倒壊した住宅のがれきでした。 そのような中で、唯一倒壊していなかった建物が、ツーバイフォー工法の住宅でした。その経験から住宅は堅牢な構造にするべき、と考えるようになり、 現在当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅（以下、サ高住）「アンジェス」はそのツーバイフォー工法を採用しています。
そして同年には、株式会社北山住宅販売（現、株式会社Ｔ．Ｓ．Ｉの100％子会社）の起業を果たしました。

北山住宅販売は、「愛ある住まいの提供」を理念に掲げ、どのような生活がしたいかをヒアリングしながら図面を引き、生活を重視した分譲住宅を販売していました。
また、北山住宅販売では、収益物件として複数棟のアパートを保有しておりましたが、なぜか、高齢者はマンションの入居審査がなかなか通らない状況にあるのを知りました。 それは不合理だ、と感じ、今後増え続ける高齢者の住まいはどうなるのか？という疑問を抱いておりました。
※現在、北山住宅販売ではサ高住の建築及び保有を主たる業務としており、分譲住宅の販売は行っておりません。

アメリカの老人ホーム、ツーバイフォー工法の堅牢な住宅、高齢者の住まいはどうなっていくのか…
さらに、日本の超高齢社会化にともない、ますます悪化する老老介護や独居老人の現状。
これらに思いをめぐらせていた中、北山住宅販売が建物オーナーとなり、大手介護事業者が運営会社として入る形で、新たに老人ホームを保有する計画が浮上。金融機関に相談しましたが、 「介護向けの建物を建築してしまった場合、万一、介護事業者が撤退した場合にどうするのか」と進言され計画を中止しました。
自社で老人ホームを建築し、保有することで、これまで感じていた社会課題の解決に繋がっていくビジョンを描いていましたが、自社で介護事業ができないと、社会的にはなかなか認めてもらえないものだと痛感しました。
それならば、介護のノウハウを積むために何ができるか？と考えていたところ、知人の紹介もあり、まず訪問看護を立ち上げることになりました。
こうした経緯で、当初は訪問看護事業を行うため、2010年に株式会社Ｔ．Ｓ．Ｉを設立しました。

看護の仕事をスタートしてすぐ気がついたのは、週に1～2度自宅を訪問するだけでは一人暮らしの高齢者を支えるのは不可能だということ。
歯がゆい思いをしていた中、創業の翌年、高齢者住まい法が改正されサ高住の制度ができました。
サ高住は施設ではなく、ご自宅。「これなら想いをすべて具体化することが出来て、自宅で暮らす人の生活を支えられる！」と、いち早く用地を調達して、 2013年に当社のサ高住であるアンジェス1棟目「アンジェスおごと」を滋賀県大津市に開設しました。

昔は家で、家族に見守られながら、看取られて最期を迎えるのが一般的でした。
アンジェスは、病院で亡くなるのではなく、終の棲家として選んでいただける事を目指しており、多くの方が当社のアンジェスでの看取りを選択してくださるということが、私たちにとっては勲章だと思っています。
人は誰もが老いて行き、「生・老・病・死」のたとえの様に、身体が衰え病にかかり、終末期を迎えます。 私たちはお客様の日常生活の安全、安心はもちろんのこと、たとえ身体は老いや病にあっても、心や魂は健全であると考え、お客様が心明るく、楽しく、前向きに毎日が過ごせるようにお手伝いいたします。

私たちは理念である、"愛ある日々のお手伝い" を大切にしています。
愛ある日々とは、老いて病の中にあっても、他の人を思いやり、他の人の幸福を願い、人に愛を手向けることで得られる、幸福感のある日々です。人生の終末期を心身共にご自宅で安心して暮らせるように、全力でサポートいたします。